10人が, それぞれ考えて特定候補A氏に投票した場合, A氏の得票数は10票にしかならない.
しかし, 10人が結集して選挙運動をすると, A氏の得票数は10票以上となる.
本記事では, 「結集は力なり」の数学的証明を試みる.
1. 結集した a[1] 人がそれぞれ, 全く同一の性質を持っていると仮定する.
2. a[1] 人がそれぞれ選挙運動をして, 結集したメンバー以外の1人に協力依頼し, r (0<r<1) の確率で協力して貰えるとする.
3. 協力者もまた, 結集したメンバー及び協力者以外の1人に協力依頼し, r (0<r<1) の確率で協力して貰えるとする.
4. 3を繰り返す.
上記の 1. ~ 4. は, 等比数列の無限等比級数として表現することができる.
【等比数列】
a[n+1] = a[n]・r ・・・・・・ [式1]
(ただし, nは自然数, 0<r<1)
a[n] = a[1]・r^(n-1) ・・・・・・ [式2]
(ただし, nは自然数, 0<r<1)
【等比数列の和】
S[n] = a[1] + a[1]r^(n-2) + ・・・・・・ + a[1]r^(n-1) + a[1]・r^n ・・・・・・ [式3]
(ただし, nは自然数, 0<r<1)
S[n] = {a[1](1 - r^n)} / (1 - r) ・・・・・・ [式4]
(ただし, nは自然数, 0<r<1)
【無限等比級数】
lim[n→∞] S[n] = a[1] / (1 - r) ・・・・・・ [式5]
(ただし, nは自然数, 0<r<1)
[例1]
10人が結集して, 結集したメンバーが, それぞれ結集したメンバー以外の1人に協力依頼し, 50%の確率で協力して貰える場合, a[1] = 10, r = 0.5 を [式5] に代入して, 20という数字が得られる.
すなわち, 10人が結集して, 20票得られるという意味である.
[例2]
10人が結集して, 結集したメンバーが, それぞれ結集したメンバー以外の1人に協力依頼し, 90%の確率で協力して貰える場合, a[1] = 10, r = 0.9 を [式5] に代入して, 100という数字が得られる.
すなわち, 10人が結集して, 100票得られるという意味である.
[例3]
100人が結集して, 結集したメンバーが, それぞれ結集したメンバー以外の1人に協力依頼し, 90%の確率で協力して貰える場合, a[1] = 100, r = 0.9 を [式5] に代入して, 1000という数字が得られる.
すなわち, 100人が結集して, 1000票得られるという意味である.
上記により, 人が結集して選挙運動すると, 無限等比級数のいわゆる「乗数効果」が得られると考えることができる.
選挙運動における「乗数効果」を高めるには, 最初に結集する人数を多くし, 協力を要請した時に協力して貰える確率を高めることに注力することが必要であるといえる.