投票率36.35%, 無党派層の参加ではなく, 組織票の組み換えによって誕生した柴橋新市長.
2018年1月28日(日) 投開票の岐阜市長選挙では, 柴橋正直候補 (無所属) が7人の立候補者の中から選出された. (投票率: 36.35%)
同日に行われた岐阜市議会議員補欠選挙では, 浅井武司候補 (自由民主党 公認 / 元職) が3人の立候補者の中から選出された. (投票率: 36.34%)
「柴橋正直候補が自公の支援を受けた中西謙司候補に打ち勝った. 自民党王国である岐阜市で, 野党系候補が勝利し, 自民党王国は瓦解した. 野田聖子氏の総裁選出馬は厳しくなった. 」
と考える他県の方々が多くいらっしゃるようだが, これは若干筋違いであると考える.
岐阜市議会議員補欠選挙の浅井武司候補 (自民党公認) の獲得票数が68,223票だったのに対し, 岐阜市長選挙の中西謙司候補 (自民党推薦) の獲得票数は30,074票だった.
つまり, 自公は市長選で支持層の44%の票しか固めることができなかった.
対して, 柴橋正直候補は, 自公支持層の約半数の票を獲得した.
特に注目すべき点は, 従来, 自公陣営を支援してきた医師会が, 今回は柴橋陣営を支援したことだ.
岐阜市議会議員補欠選挙の山越徹候補 (共産党公認) の獲得票数が28,132票だったのに対し, 岐阜市長選挙の森下満寿美候補 (共産党推薦) の獲得票数は4,566票だった.
岐阜市における共産党の固定票は約13,000票あるのだが, 森下候補の獲得票数は, 固定票の約35%.
共産票が柴橋候補に流れた可能性がある.
2018年 岐阜市長選挙で, 柴橋正直候補に投票した人の内訳は, 下記のように推測できる.
自公支持層: 3万~3万5千票
民進支持層: 2万~3万票
共産支持層: 0~8千票
投票率は36.35%, 無党派層が積極的に参加した選挙ではない.
柴橋新市長は, 旧来の組織票の組み換えによって誕生した市長といえる.
つまり, 岐阜市における政治への市民参加の水準は, まだ低い.
柴橋新市長の誕生は, 自公にとって痛手ではなく, むしろ好都合である可能性すらある.
なぜなら, 岐阜市長選挙で柴橋正直氏が当選し, 柴橋氏が衆議院議員総選挙の岐阜1区から立候補する可能性がほぼ無くなり, 野田聖子氏の天敵がいなくなったからだ.
また, 現在, 岐阜市議会において, 柴橋新市長の与党といえる勢力は, 民進党系会派「市民クラブ」 (38議席中5議席) のみである.
柴橋氏は自公の協力を得なければ, 予算を成立させることができない.
猫田孝氏 (岐阜県議会議員・自民党 岐阜県連 幹事長) や野田聖子氏 (衆議院議員・岐阜1区選出) は内心, ほくそ笑んでいるのではないだろうか?
来年4月に岐阜市議会議員選挙があるが, 柴橋氏は新党を立ち上げて過半数を取りに行くのだろうか?
2018年 岐阜市議会議員補欠選挙後の岐阜市議会の議会構成
分類 |
会派名 |
議席数 |
備考 |
旧与党
(31議席) |
自民岐阜 |
18議席 |
|
クラブ青空 |
1議席 |
※自民党員 |
無所属 |
2議席 |
※自民党系 |
公明党 |
5議席 |
|
市民クラブ |
5議席 |
※民進党系 |
旧野党
(7議席) |
無所属クラブ |
4議席 |
※無所属市民派 |
日本共産党 |
3議席 |
|
岐阜市民は, 市長が変わったからといって, 市民のための政治が行われるとは考えない方が良い.
なぜなら, 柴橋正直氏は, 衆議院議員時代に野田佳彦氏のグループに所属, TPP推進派, 消費税増税法案に賛成票を投じた.
要するに, 野田佳彦氏, 前原誠司氏, 小池百合子氏と同様に従米の新自由主義者である.
岐阜市民は, 上下水道, 卸売市場, 病院等の社会的共通資本を民営化するような政策が行われないよう, 目を光らせて監視しなければならない.
今回の選挙では, 市民による, 立候補者を呼んでの勉強会, 公開討論会が開催され, 公開討論会の動画がYouTube上に公開されていた点, 多くの立候補者がwebサイト, SNS, 動画投稿サイト, 配信サイトを活用しようと努力していた点は, 昨年1月の岐阜県知事選挙の時と比較して進歩したといえる.
しかし, フォロワー数が少な過ぎたり, 公開討論会の動画, 各立候補者のwebサイト等にアクセスした有権者の数がまだ少な過ぎた点は今後の課題である.
来年4月に行われる岐阜県議会議員選挙, 岐阜市議会議員選挙では, 課題が克服され, 多くの市民の政治参加がなされることを期待する.
さて, 細江市長の任期は2018年2月23日(金) までだが, 細江市長は任期満了までに新庁舎建設の入札 (総事業費: 約269億円) をしてしまうのだろうか?
合併特例債の期限は5年間延長される見込みであるし, あまりに総事業費が高騰した新庁舎建設計画は見直しして頂きたい.
[ 情報源: 『合併特例債の発行期限を5年延長 改正特例法が成立』 / 日本経済新聞 / 2018年04月18日 /
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO29520660Y8A410C1EAF000/ ]
[ 情報源: 『岐阜市 市役所新庁舎工事 2JVが応札 /岐阜』 / 毎日新聞 / 2018年02月20日 /
https://mainichi.jp/articles/20180220/ddl/k21/010/157000c ]
[ 情報源: 『岐阜市新庁舎、再入札が成立 計画継続濃厚に』 / 中日新聞 / 2018年02月20日 /
http://www.chunichi.co.jp/s/article/2018021990120642.html ]
[ 情報源: 『再入札、2JVが応札 岐阜市新庁舎』 / 岐阜新聞 / 2018年02月20日 /
http://www.gifu-np.co.jp/news/kennai/20180220/201802200844_31609.shtml ]