一般的にはあまり知られていないことだが, 銀行は, 預金以上のカネを貸出することができる.
現行の銀行の自己資本比率規制である「バーゼル2」の下では, 理論上は, 国際業務を行う銀行は預金の12.5倍まで, 国内業務のみ行う銀行は預金の25倍まで貸出することができる.
銀行が, 預金以上のカネを貸出によって作ることを, 「信用創造」という.
【 マネタリーベース 】
マネタリーベース = 日本銀行券発行高 + 貨幣流通高 + 日銀当座預金
公式発表資料:
http://www.boj.or.jp/statistics/boj/other/mb/
【 マネーストック 】
マネーストックとは, 「金融部門から経済全体に供給されている通貨の総量」のこと.
(すなわち, マネーストックとは, 銀行の貸出によって作られたカネの量のことである.)
具体的には, 一般法人, 個人, 地方公共団体などの通貨保有主体 (金融機関・中央政府を除いた経済主体) が保有する通貨 (現金通貨や預金通貨など)の残高を集計している.
【 マネーストック統計 】
平成20年 (2008年) 5月統計分以降の貨幣量の統計.
従来のマネーサプライ統計に代わる指標.
公式発表資料:
https://www.boj.or.jp/statistics/money/ms/index.htm/
マネーストック統計 指標の種類 |
補足説明 |
M1 = 現金通貨 + 預金通貨 |
[ 預金通貨 ] の発行者: 全預金取扱機関 |
M2 = 現金通貨 + 預金通貨 + 準通貨 + CD |
[ 預金通貨 + 準通貨 + CD ] の発行者: 国内銀行 (ゆうちょ銀行を除く) |
M3 = 現金通貨 + 預金通貨 + 準通貨 + CD |
[ 預金通貨 + 準通貨 + CD ] の発行者: 全預金取扱機関 |
広義流動性 = M3 + 金銭の信託 + 投資信託 + 金融債 + 銀行発行普通社債 + 金融機関発行CP + 国債 + 外債 |
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【 2016年10月時点での貨幣量 】
マネタリーベース: 417兆6,291億円
( 日本銀行券発行高: 96兆9,819億円 / 貨幣流通高: 4兆6,950億円 / 日銀当座預金: 315兆9,522億円 ( 準備預金: 283兆9,824億円 ) )
マネーストック: ( M2: 944.8兆円 / M3: 1,266.8兆円 / M1: 673.2兆円 ( 現金通貨: 92.2兆円 / 預金通貨: 581.1兆円 ) / 準通貨: 562.2兆円 / CD: 31.3兆円 / 広義流動性: 1,651.4兆円 )
【 分析 】
2016年10月現在, 流通している円の量は, 広義流動性の金額である1,651.4兆円といえる.
もし, 債務者が全員, 債務を完済したら, 広義流動性は0になり, 日銀当座預金も0になり, 世の中の円の量は, 紙幣96兆9,819億円と貨幣4兆6,950億円の合計101兆6,769円だけとなる.
すなわち, 貨幣量が元の6.16%にまで減少するということである.
単純計算で, 牛丼1杯400円が24.63円に, おにぎり1個100円が6.16円になる.